森山老師の法話(7月摂心):弁道法から学ぶ
朝の禅堂 |
- 森山老師のお話(その1):「瑞岳院は弁道法を実践する場所です。参禅者の皆さんには、瑞岳院で一緒に修行し、道元禅師が伝える古来伝統の弁道法に親しんでいただきたいと思います。弁道法は800年前に道元禅師が作られたものです。これを現代の皆さんが実践するのは、まるで異文化を体験しているようなものでしょう。しかし、ここでの体験をきっかけにして、何かを学んでほしいと思います。」
弁道法とは、僧堂生活において行われるそれぞれの行動について、道元禅師が定めた指針や規則です。ここでいう行動とは、坐禅や読経の仕方だけでなく、禅堂への入堂方法、食事作法、洗面、就寝の作法等が含まれています。これら指針や規則は、僧堂での集団生活において、仏道修行を遅滞なく、一分の隙もなく進めるためにはどのように行動すべきかを具体的に示したものです。
電気も水道もない瑞岳院での修行は異文化の体験だと思います。しかし異文化体験は、自身の日常を見直す絶好の機会となります。例えば、海外旅行に行けば、日本と異国の文化との違いに驚くと同時に、自国の文化をより強く意識することが多いのではないでしょうか。しかも瑞岳院での「異文化」体験は、古来伝統の仏道修行そのものです。例えば、経典を読むことで仏陀の教えに親しむことができるように、弁道法を実践することで道元禅師の教えを、行動を通して親しんでいるのです。
「弁道法の体験をきっかけにして何かを学んでほしい」と森山老師は述べられました。弁道法を自宅に帰ってからも行えというのではありません。仏道修行は坐禅や読経だけではありません。生活のすべてが修行です。弁道法が教える精神を、文化の違いを超えて、各々の日常行動の中にも活かしてほしいと思います。
次回以降は以下のトピックについてお伝えいたします。
- 現代人の精神的基盤
- 禅の修行で重要なポイント
- 坐禅の深さ
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